プリキュア挿入歌特集−その5−

渡辺宙明先生インタビュー (2)

2.「挿入歌」オケのレコーディングについて


−ではレコーディング当日のお話を聞かせてください。まずスタッフの方について。

 ディレクターは東映アニメーション音楽出版の藤田さんです。この方についてはさきほどお話しました。

 シンセのオペレーターが今回は栗山さんという人。この人とは初めてです。今まで一緒にやった人がしばらく外国行っちゃったんで、誰かいないかと探して紹介されたのが栗山さん。この人の凄い所はスタジオに機材全部持って来たところ…最近みんな(ここまで)持って来ないんですよ。音源をある程度持って来ないとね、現場で音色ちょっと変えてくれって言っても出来ないでしょ?
 ひところはみんなこういう風に持って来たんだけど、最近はパソコンと音源一つ二つで、それでやっちゃってる人もいる。栗山さんの場合、音源が豊富だし、それと仕事も速いようですよ。この仕事は打ち込みの速さも要求されるので、その点でも良かったですね。

 前の方に座った串田さんに似たような人がミキサーの小幡さん。なんとなく串田さんに似てるでしょ? それとインペクの佐々木さん。

−みなさん腰低い方ばかりでこちらもびっくりしました。

 そりゃもう、サイトで宣伝してくれる方達だと言っといたから(笑)

***

−続いてオケの編成なんですが、まずは宙明サウンドマニアにとっては気にせざるをえないブラスセクションからお願いします。

 今回のブラスが一番定評のあるトランペットのエリックさんのグループです。前は数原さんって人もお願いしました。 ゴーダンナー2ndシーズンのブラスは数原グループです。エリックさんのグループは以前はモヒカン刈の人もいたけど、今は髪の毛変えたのか、別な人になったのか…。メンバーもね、ちょっと入れ替わることもあるんですよ。今回のはいいメンバーでしたね。

−あのブラスはすごかったですね、本当に感動しました。

 この間、神奈川交響楽団でシンフォニーポップスのコンサートをやった時、藤野浩一という人がやった時に、この人たちがブラス吹いてました。クラシックの人達は高い音が出ないですからね。

 昔、NHKで青春のポップスって番組をやってたんですけど、あの時もこの人たちがブラスを吹いてた。結構いろいろと活躍している人達なんです。

−サックスの渕野さんは?

 ぼくは今回初めてだったけどやっぱりいつも彼ら(ブラスのメンバー)と一緒にやってるだけあって音が合いますよね。サックスのメンバーをエリック(宮城)さんに頼んだら渕野さんがいいってことで。

 ゴーダンナーの時も(ミュージシャンは)良かったけど今回インペ クさんが割と良くてしっかりしてますよね。誰に頼んだら、どういう風に頼んだらいいメンバーが集まるかってわかってる。

−なるほど、興味深い話ですね。では今度はストリングスの方をお伺いします。

 今回ストリングスは小池さんです。いつもお願いする篠崎さんもいいけど、この小池さんも同じくらいいいんでね。

−今回、8人ともヴァイオリンでしたが?

 今度はヴァイオリンだけにしました。ゴーダンナーの1stシーズンの時ヴァイオリンが7名でチェロが3名の合計10名でしたけど、歌だけの時はチェロはいらないんじゃないかと思ってヴァイオリンでやったんです。
 ただ劇伴となればチェロ入れないとやっぱりね、いろいろ低音が必要ですから。

−ヴァイオリンだけを8本使うっていうのは先生の場合これまであったのですか?

 いや、あんまりヴァイオリンだけってのはないけどでも中にはありましたよ。あれがそうですよ、ガチャフォース。あれはヴァイオリンだけ7名。チェロなし、と。あの時は 後藤グループですね。それでブラスはやっぱりエリックグループでした。ギターが誰だったかなぁ、ちょっと忘れましたけどね。ガチャフォースは演奏がよかったですねぇ。

−歌手の五條真由美さんについてはいかがでしたか?

 いや、まだ仮歌の段階ではよくわかりませんね。主題歌とかを聞くとなかなかいいんじゃないかと思いますね。いわゆる一般の歌手というのとちょっと違ってアニメに向いているというか、そんな気がしました。歌い手さんってのは大事だよね。五條さんはこの歌には合っていると思いますよ。

* **

−今回初めてレコーディングを見学させていただいてそのスピーディさに大変感心したのですが、今の最新技術が使えなかった昔はリテイクなどどうやっていたんですか?

 アナログの時でもある程度はまでは(編集)出来ましたよ。だけどなるべくやりいいような所から開始するというやり方です。音に隙間の出来るような部分からね。今はコンピュータでやりたい部分だけパッとやっちゃうということが出来るから音が繋がっている所でも大丈夫なんです。昔はそれが非常に難しかった。休みのある所からしかやれなかった。

−それから当然と言えば当然なのですが、やっぱり全コーラス生演奏でやっているのですね。

 そうです。ただBGMの場合は曲数が多いですからね、テレビで使う分にはこれでいいけれど観賞用としてはもう一回リピートしたいというような曲の場合は1回だけ演奏してもらって後でコピーして編集したりし ていました。

−シンセサイザーに関してはいかがですか?

 今の音楽といってもオーソドックスなものもあり、新しいものもあり。その中でもメロディーはオーソドックスでいいなぁというメロディーがあって、それをシンセでアレンジしてあるけどエコーがかかりすぎしまっていて、賑やかだなぁとは思うけど何をやってるのかわからないんですね。あれはミキサーが悪いのか、あるいは元があまりよくないからわざと輪郭をぼかしたのかわかりませんけどね。まあ何がいいのかっていうのは非常に難しいですね。(あるやり方が)当たったからといって、それに追随してもしょうがないわけでね。

 私の場合やっぱり生楽器でやっているということでみんなが期待している訳だから、それをシンセでやるのはどうかと。もしシンセでやるなら徹底してシンセ向きのアレンジでやらないと面白くないですね。シンセはやっぱり生と全然違いますからね。
 

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