プリキュア挿入歌特集−その5−

渡辺宙明先生インタビュー (5)

5.宙明音楽の魅力とは?


−先生の音楽には歌もBGMも強い個性があるわけですが、そのヘンの秘密などを教えてください。

 私の場合歌もので例えばABCという感じで作るでしょ。するとBの部分はだいたい同じに(笑) これはね、自分でも意識してやっているんですよ。これが一番作りやすいんです。AがマイナーでBがメジャーになって、またマイナーでしょ。このBの作り方っていうのは色々あるんだけど、もっとも快いっていうのはもう決まってるんです。だから似てても構わず強引に作っていく。途中で何かにソックリなんじゃないかと思ったら、それはもう自分が以前にやっちゃってるんです(笑)

 Bに限らず自分でこのコード進行が快いというのがあるんです。あまり似てしまっては困るけど、いちいち調べるわけにもいかないじゃないですか。だからいいや、文句ない、と(笑) いつも書いている時はこれがベストだと思っているわけです。それを無理してちょっと変えちゃうと(理想と)違っちゃうんですね。この間のガチャフォースの真ん中の部分は同じメジャーでもちょっと違うコード進行なんですよね。あれはうまくいきました。

 そういうやり方もあるんですけど、今度の挿入歌(「最愛」)で出てくるようなのっていうのはね、実はもう何回も使った!(笑)

 それから今になって思うと「イナズマン」なんてみんな似てるんだ(笑) 挿入歌なんか全部似てるじゃないですか。あれはね、別に真ん中のBとかサビが似ちゃうとかいうのと全然違って、結果的に全部似ちゃったんです。だから「イナズマン」というのは後で聞いて、あれはしまったなぁと思って。
 ただあの時はね、自分なりの思想、目標っていうのが、こういうやり方で行きたいというのがありすぎたんですね。方向性を意識してやったのは確かなんです。似せようというよりもこういう思想で行こうという戦法というか戦術が強すぎて全部あんな風になっちゃったんですね。今ならそういう中でも色々崩してバリエーション付けてやれるんですけどね。

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 キカイダーの仕事が最初にきた時は、それまでどういう音楽が(そういう作品で)ついてたのかなんて自分で見てたわけじゃないからわからないじゃないですか。それでレコードを買いにいくわけですね。で、ウルトラマンとか仮面ライダーがでてたので買って聞いてみたら、こんなんじゃ全然自分のやり方と違うと。そうした部分が行き過ぎちゃってイナズマンではなんか同じようになっちゃったんですかねぇ。

 ただ最初のキカイダーではうまくいきましたけどね。結局あの時モデルにしたのはエンニオ・モリコーネなんですよ。でもどこがモリコーネなのかっていうと似てるところはあんまりないんですよね。そういうのが理想なんでしょうね。キカイダーのような歌っていうのはちょっとあんまり出てこないじゃないですか。

 あの時は子供コーラスも使ってくれって言って、詩もよかったんですね。それからこのキカイダーはね、歌い手さんが亡くなっちゃったからヒーローもののコンサートでも歌ってもらえないじゃないですか。私なんかは宮内タカユキさんなんかにやってくれないかとか、串田アキラにも言ってはいるけれども、自分で積極的にはなかなかねぇ。(スパヒロの)CDだとmojoさんが歌ってましたか。 もっと (ライブでも)歌って欲しいですね。

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 私はいつも一番面白いところ、サビの部分が似てるというのは意識してやってるんです。これを変えるには結局はそうないよと。だれかが前に「先にコード進行決めといてメロディー作ってるんじゃないか」っていってたけど…。決めてるわけじゃないけどね、だいたいあのコード進行だと間違いないんですよ。

 あと、いい音程関係というのもあって、同じコード進行でもつまらんメロディーといいメロディーがあるでしょ?それをいいメロディーでやるとなるとだいたい決まってきちゃうんです。ほかに方法もあるけど、私の場合露骨にメロディーメロディーで行くというのが特徴だから、簡単なフレーズで抑えて途中でワーッとやるやり方はあまりやってないんです。これからはやってもいいかなぁと思うんですけどね(笑)

 さっきの「プリティ・エクササイズ」なんかもいい歌なんですけど、はじめ抑えててリズムだけ狭い音域の中でやって、でパッとこう広がるという。まさにそれです。だからアクション以外の要素を含んだ歌っていうのはまだまだやってみたいですね。私の別の世界がここにあるというのをお見せできると思います。

 私だってある意味欲求不満になるわけですよ。いっつも同じようなやつをやってるともうネタないじゃないかと。勇ましくて力強くてかっこいいったって限界があるんだ、と。
 なるべくロック的なフレーズでありながら、というのじゃないとね。だけど前のやつとはだいぶかわってきてますよ。でも前の味も残してあると。するともうね、そうはやる手がないんです。最近はいつも曲を作る時にいやこれでもいいんだけどこれだと平凡だなぁなんて何回も何回も作り直してるんです。

 今回(プリキュア挿入歌)は作り直しなんてないですもんね。パッといけちゃったというかね。こっちの系だと別に力強くなくていいわけですから。もっともっとやってみたいですね。

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−シンコペーションは意識して使っているのですか?

 歌というのはリズムが大事なんですね、メロディーのリズム。だから意識して使っています。

 ただ「ENGAGE!!!ゴーダンナー」のサビでは曲先でもわざと(シンコペーションではなくて)同じ音を同じリズムでしつこく繰り返してみました。「いつか、花は咲くだろう」に似てると言われましたが、そのことは意識してませんでしたね。ジャッカーは全部詩先だったんでそれに合わせてメロをつけてたんですけど、今回は曲先でもあえてこうしてみようと思ってやったわけですから。

−劇伴なんかではどうなんですか?

 最近の人達というかやっぱり思い入れたっぷりのアニメ作家なんかはね、前のあの曲が欲しいっていうんだよね。平野さんでもそうなの。マジンガーZのあの曲とそっくりにやってくれというんだよ。似た感じがいいのか、そっくりがいいのかって聞いたら「そっくりがいい」と(笑)
 そういう過程を知らないと、「何か違うんじゃないか」とか「あれに似てるんじゃないか」とかいう評価がよくあるけど、こちらはそれは注文でやっているわけだから…。その過程が伝わらないのがある意味残念ですね。曲調なんかも、大抵は注文で書くんだけれど (そうした事情は)やっぱり表には出てこないわけです。
 

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