プリキュア挿入歌特集−その5−

渡辺宙明先生インタビュー (6)

6.その他雑談の中から幾つか


−先生の音楽が広く受け入れられてきた理由についてどうお考えですか?

 私の場合、あの「マジンガーZ」とかのあたりから10何年間ずーっとやったから固定ファンがついたんですよね。ところがいまの作曲家の人達は飛び飛びにやっているからね、作曲家として(ファンに)覚えられにくいんじゃないですか?
 名前を覚えてもらうにはやっぱり歌と両方やるというのがいいんですね。 なんといったって普通の人は最初は歌へいきますから。 まず歌なんですよ!  だから主題歌やってBGMもやらないと次の世代のファンっていうのはなかなか育たないと思います。しかも全国ネットでやらないとダメですね。一年ものとかでね。

 それから、ずーっと過去を見てみると結局はね、特撮アクションものなんです。特撮アクションって今はそんなには人気なさそうにみえて、実際にはそれ以外にも根強い影響を与えているんですよ。どうもね。私はロボット(アニメ)ものってそんなに数はやってないんです。「マジンガーZ」は有名ですけど、あとは「グレートマジンガー」「鋼鉄ジーグ」「ガ・キーン」「メカンダーロボ」…そこらへんは続けてやったというのが大きかったんでしょうね。

 だけど特撮ものっていうのは本当にずーっとやってきていて数も多い。昔は男の子っていうのはみんなアニメよりも特撮を見たんですよ。だからねぇ、私は時代が良かった。今の子供達はあんまり特撮ものを見なくなっちゃった。見ても幼稚園ぐらいで卒業しちゃう。だからもう今みたいなそういう人(ファン)は育たないんじゃないですかね。流れとして今更そういう風にはならないと思いますよ。

−J-POPが低年齢層をターゲットにしてきているのも影響がありませんか?

 そう。だからアニメソングっていうもののウェイトが下がったと思いますね。前はオリコンでも、マンガ・童謡っていうチャートがあったんですよ。でも終いにはレコードが売れなくなって順位がつけられなくなって廃止になったんですから。それで一般と同じ扱いになったから100位の中に入ってくるのは時々。

 マンガ・童謡があった時代は実写ものが必ず1位、2位になってたんです。私の曲が上位3位のどれかには必ず入るような感じだったんですよ(笑) そして当時は男の子はみんな作品を見て、レコードも買ってくれたんです。でも今もうそれはないから。仮面ライダーもお母さん人気で続いていて、やめられないみたいですし。だから今から20年30年後になってからあれをもう一回出してくれというようになるのかどうか、ね。

 特撮好きな人ということではある程度残ったファンが買うんでしょうが、今の私に対するような固定の作曲家ファンみたいなのはどうなんでしょう? もう今の若い子で固定の作曲家ファンってのがいないから。アミノサプリような現象は起きないんじゃないですか。

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 実は「宙明全記録」に載ってないやつがあるんですよ。松島アキラって歌手が出てたやつなんですけど。その劇伴の録音してる時に松島アキラが来てて、「先生、素晴らしいです。私のアレンジをこれからやっていただけませんか」なんて言ってくれてね。その頃はアレンジャーになるなんて全然思ってなくて…。映画音楽と歌謡曲のアレンジは違うでしょう。

 で、自信がなくってね。いや歌謡曲のアレンジはまだ...って言ったら「いや、あの曲、あれでいいですから是非お願いします」と何回も言われてね。当時、川口真がぼくの助手やってたもんだから、それじゃあと川口真を紹介しちゃった。だからあの時ぼくが引き受けてやっていたらどうなっていたんだろうって(笑)
 彼(川口真)は一時期ぼくの助手やってたんですよ。彼はそこから歌謡曲に入ったんじゃないかなぁ。確かな所はわかりませんけどね。

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 やっぱりパソ通時代が懐かしいですね。アニメならアニメで好きな人達が集中してね。コンサートとかあるとウワーっと書き込むでしょ。熱心なものでした。今のインターネットだと (人が)分散しちゃってますね。あまりにもいい加減な断片的なのもあるし、よくないですよ。

 ただ掲示板なんかの意見はやっぱり参考になりますよ、ああいうものがあると。レコード会社ってあんまり宣伝に力入れないでしょ。(リスナーは)掲示板があることで情報を得るんじゃないかとも思います。

***

 今、キューティーハニーの実写のリメイクやってますけど、あれは歌は同じなんですよね?

−同じです。歌手は別ですけれど。

 あれは曲は渡辺岳夫さんなんですけど、なかなかいい歌ですよね。監督か誰かが、あれはいい歌だからそのまま使いたいといったらしいですね。元の歌がいい場合は変えないほうがいいですよね。

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 最近はファンの人と話してても、いやいいメロディーはもう出尽くしてどこかにあるんだと、いうようなことを私から言うんですね。それでもやっぱり別の作曲家がやれば似たような曲でもそれなりのものが出来るのが音楽の面白さですね。

 ただ、いい音程感っていうのはあるんですよ。今はそれを外した曲が多くなっちゃってるからつまらん曲もでてきますわね。パッと耳には新しくて新鮮な感じはするけど特にそれほどよくはない、っていうのあるじゃないですか。消費音楽になっちゃってる。
 だからレコードが売れなくなってきたっていうのは、コピーが流行りだしたっていうのもあるんでしょうが、せっかくお金払って買ってもどうせすぐ飽きちゃうっていうのもあるんじゃないかと。買って手元に残しておきたい曲がないんだという。

 音楽に愛着もってるファンなら、元の音源を持っていたいというのはあるはずでしょう。捨てがたいっていうか、ほとんど聴かなくなっても捨てられないという。そう思わせる曲が減ってきたんじゃないかと思うんです。

−先生にはこれからもファンの垣根を越えて沢山の人達が「気持ちいい」「持っていたい」と思える曲を生み出し続けて欲しいですね。長時間に渡って貴重なお話を聞かせていただき、どうもありがとうございました。
 

インタビューを終えて…


 約5時間にわたってお話を伺わせていただいたのですが、我々にとってはあっという間の時間でした。その間、優しく楽しそうにユーモアを交えて話してくださる先生の様子 に、嬉しく思うと同時に頼もしさも感じました。今回のプリキュアもそうですが、まだまだ新しい宙明サウンド・宙明節を聞かせてくれるに違いない!と。

 ファンサイト管理人として、そしていちファンとしても、今後益々のご活躍を、心の底から願っております。
 

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